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フリーランスに向いている人・向かない人の決定的な違いとは?―変化する働き方と「法」という武器―


フリーランスに向いている人・向かない人の決定的な違いとは?―変化する働き方と「法」という武器―


はじめに:自由の裏側にある「自己管理」の正体


以前の記事で、フリーランス1年目に容赦なく届く「お金の通知(住民税や社会保険料)」のリアルについてお話ししました。



手元に残る金額のシミュレーションを見て、背筋が伸びる思いをした方も多いのではないでしょうか。


「自由」という言葉は魅力的ですが、その実体は「会社が肩代わりしてくれていた膨大な管理業務」を、すべて自分一人で担うことを意味します。


フリーランスという働き方は年々広がりを見せ、今や特別なものではなく、多くの人にとって現実的な選択肢となっています。


一方で、途中で別の働き方へ移行する人も一定数存在します。


この時代に、フリーランスとして生き残る人はどのような特徴を持っているのか。

あるいは、どのような人が「組織」という環境でこそ力を発揮するのか。


実務の現場にいる立場から、その適性と生存戦略をひも解いていきます。



フリーランスという働き方のリアル


ここで少しだけ、私自身の話をさせてください。


今でこそ「フリーランス」という言葉は一般的になりましたが、私のような社会保険労務士をはじめとする士業は、以前は「個人事業主」と呼ばれるのが当たり前でした。


では、個人事業主とフリーランスは同じなのでしょうか。


厳密には、個人事業主は税法上の区分であり、フリーランスは働き方を表す言葉です。

そのため、個人事業主であっても従業員を雇っている場合は「事業者」としての性格が強くなり、一般的にイメージされるフリーランスとは少し異なります。


一方で、私のように一人で業務を行っている場合は、個人事業主でありながらフリーランスとしての働き方をしている、という状態になります。


また、私自身も社労士事務所に勤務していた頃から、いわゆる「会社員」でありながら、フリーランスに近い働き方をしていました。


顧問先を任されれば、基本的に一人で対応し、判断も任される。

ミスがあれば当然自分で謝罪する。

時には休日でも連絡が入る。


すべてではありませんが、「自分で考え、自分で動き、自分で責任を取る」という意味では、すでにフリーランス的な要素はあったのだと思います。


では、なぜ独立したのか。


理由はいくつかありますが、一番しっくりくるのは

「すべてを自分で決めたくなった」という感覚でした。


こうした経験も踏まえながら、フリーランスに向いている人の特徴を見ていきます。


フリーランスに向いている人の「4つの共通点」


フリーランスとして長く活動している人には、職種を問わず共通する「資質」があります。

それは単なるスキルの高さではなく、以下のような「土台」の部分にあります。


1.「孤独」を「集中」に変えられる力


組織に属していると、会議や電話、同僚との雑談など、良くも悪くも「他者からの介入」が絶えません。


しかし、フリーランスは原則として一人です。この静寂を「寂しい」と感じるか、「最高の集中環境」と捉えられるかが最初の分かれ道です。


自己管理ができる人は、誰に監視されていなくても自らスイッチを入れ、質の高いアウトプットを生み出すことができます。


2.常に「逆算」で動ける時間管理能力


フリーランスの納期は絶対です。


しかし、向いている人は単に「締め切りを守る」だけではありません。


私が社労士のほかに大切にしている茶道の世界では「段取りが八割」と言われます。

本番(納品)のためにどれだけ静かに準備を整えられるか。


数ヶ月先の「入金」と「支出」を見据え、現在の稼働量を調整できる人は、収入の波や案件の増減にも振り回されにくくなります


3.良い意味での「鈍感力」と「修正力」


営業をかければ断られ、発信をすれば反応に揺れることもあります。


そのたびに深く傷ついていては、長く続けることは難しくなります。

向いている人は、失敗を「感情」ではなく「データ」として扱います。


「今回はこの方法が合わなかった」

「では次はどう変えるか」


と、淡々と改善を繰り返せる人は強いです。


4. リスクに対する耐久性


フリーランスは、会社員に比べて収入が安定しにくく、最終的な責任もすべて自分で負う働き方です。


また、年齢やキャリアによっては「もしうまくいかなかった場合に会社員に戻れるか」という現実的な不安を感じることもあるでしょう。


こうしたリスクをゼロにすることはできません。


それでも長く続けている人は、単にリスクを恐れないのではなく、

「そのリスクを上回る価値」を自分の中で見出しています


例えば、


・通勤時間がない

・働く時間を自分で調整できる

・人間関係のストレスをコントロールできる


といった、日々の働く環境そのものです。


収入の安定性だけでなく、「どんな環境で働きたいか」という視点で自分の働き方を捉えられる人は、フリーランスという選択に納得感を持ちやすくなります。


リスクがあることを前提にしながらも、それ以上に「この働き方を続けたい」と思えるかどうか。


この「納得して選んでいる感覚」こそが、不安定な働き方の中でも自分を支える軸になります。


「向かない人」が直面する3つの壁と、その対策


一方で、以下のような特徴を持つ人は、フリーランス特有の重圧に直面しやすくなります。

ただし、これらは「仕組み化」によってカバーすることも可能です。


壁①:公私の境界線が曖昧になり、燃え尽きる


「いつでも働ける」環境は、「いつ休めばいいか分からない」状態を生みます。


真面目な人ほど仕事から離れられず、結果として心身のバランスを崩してしまうことがあります。


【対策】仕事をしない時間をあらかじめ決める、環境を分けるなど、意識的にオンとオフを切り替える仕組みを作ることが重要です。


壁②:目先の報酬に流され、リスクを見落とす


高単価という理由だけで契約内容を十分に確認せずに受けてしまうと、後にトラブルへと発展することがあります。


不当な修正や報酬未払いといった問題は、決して珍しいものではありません。


【対策】契約条件は必ず事前に明確にし、必要に応じて専門家の知見を活用することが重要です。


壁③:自己投資を後回しにする


フリーランスは、自分自身が商品です。


日々の業務に追われる中で学びを止めてしまうと、知らないうちに市場価値が下がってしまいます。


【対策】収入の一部をあらかじめ学習費として確保するなど、継続的に自分をアップデートする仕組みを持つことが大切です。


法律を武器にする:「フリーランス法」という支え


 

「交渉が苦手だから不安」という方にこそ知ってほしいのが、2024年11月に施行されたフリーランス法です。


実際に、フリーランスの約4割が何らかのトラブルを経験しているとされています。



① 取引条件の明示義務

業務内容や報酬、支払期日などは、書面(メール等含む)で明示することが義務付けられています。


② 報酬支払期日の設定

報酬は原則として納品から60日以内に支払われなければなりません。


③ 不当行為の禁止

報酬の減額や不当なやり直しなど、これまで問題となっていた行為が明確に禁止されました。


④ ハラスメント対策と両立支援

企業にはフリーランスに対しても、ハラスメント防止や育児・介護への配慮が求められます。


フリーランス法は、交渉が苦手な人でも安心して働くための「最低限のルール」を定めた法律です。まずは自分が守られる権利を知り、不利な条件を一人で抱え込まないようにしましょう。


働き方を変えることは「失敗」ではない


フリーランスとして働き始めたあと、途中で会社員に戻ったり、別の働き方へ移行する人も一定数います。


しかし、それは決して「失敗」ではありません。


フリーランスとして、自分で仕事を受け、納品し、責任を持って完遂する経験は、組織の中では得がたいものです。


実際に、その経験を評価され、企業から声がかかるケースも少なくありません。


働き方は一度決めたら変えてはいけないものではなく、その時々の状況や価値観に応じて選び直していくものです。


フリーランスという選択も、会社員に戻るという選択も、どちらもキャリアの一部です。

その経験はすべて、次の選択をより良いものにするための土台となっていきます。


 

おわりに:キャリアは「おもてなし」の場所選び


会社員か、フリーランスか。

それは単なる働き方の違いに過ぎません。


茶道において、どのような場であっても「相手を思う心」が本質であるように、仕事もまた「誰かの役に立つこと」に集約されます


どこでその価値を発揮するか。

それを選ぶのが、キャリアです。


もし一歩踏み出すことに迷いがあるなら、

「その経験は必ず次につながる」という事実を思い出してください。


自由という責任を引き受け、自分の軸で働く。

その選択を、社会保険労務士として、そして一人の実務家として応援しています。


※参考文献│フリーランス実態調査(内閣官房)



■社労士 伴 真知佳さんの連載はこちら



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