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フリーランスにとっては国保が高くて大変。でも、社会保険料削減サービスってどうなの?

フリーランスの皆さま、国民健康保険料高いですよね。

個人事業主になった初年度から加入するものなので最初から「国保は高い」という印象を持っている方も多いと思います。


そんな中、SNSでも「国保逃れ」なんていうワードが賑わいを見せていますね。


国民健康保険に関する基本的な知識から国保は安くできるのか?

または巷の社会保険料削減サービスってどうなの?


というところを解説していきます。



そもそも国民健康保険って何?


フリーランスになり「会社などの健康保険に入っていない人」が必ず加入しなければならない公的医療保険を国民健康保険と言います。

日本は「国民皆保険(こくみんかいほけん)」といって、国民全員が公的医療保険に加入しなければなりません。


会社員であれば会社に属していることで「社会保険」に加入しますが退職すればその翌日から国保または転職して別の会社の社会保険に加入する、といったことをしなければなりません。




国民健康保険と社会保険の違い


1. 国民健康保険には「扶養」の概念がない


社会保険では妻や子どもを扶養に入れることで家族の社会保険料は「無料」でした。

しかし、国民健康保険には「扶養」という考え方がないので家族ひとりひとりが加入者として保険料がかかります。

これは生まれたばかりの赤ちゃんであってもかかりますので家族が増えれば増えるほど保険料が高くなっていきます。




2. 国民健康保険には「労使折半」の概念がない


国民健康保険は自営業・フリーランスといった雇用主がいない方が加入する健康保険ですので「労も使も自分自身」であり、自身で保険料を支払います。

対して社会保険は労働者が50%、会社が50%負担する仕組みになっており、給与からは本来の50%の保険料のみが差し引かれることになります。


しかしながら近年話題にあがるように、会社負担分の50%は「法定福利費」で勘定される人件費であり実質的には労働者本人の負担と何ら変わりなく賃金の透明性を損なっているだけでは?とも言われています。




3. 保障の違い


国民健康保険には「傷病手当金」や「出産手当金」がありません。

傷病手当金は労災と混同されがちですが業務外のものが対象になります。すなわち、業務外の傷病によって給与が出なかった時にでる手当で、国保にはなく、社会保険のみ該当する制度です。

出産手当金についても出産育児一時金と混同されがちですが、出産のために仕事を休んだ期間の生活保障に該当する手当になり、国保にはなく、社会保険のみ該当する制度です。




4. 範囲の違い


社会保険は「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」を総称しますがそれに対し、

国民健康保険は「健康保険」「介護保険」を指します。年金は別途「国民年金保険」にも加入する必要があります。





国民健康保険料はいくらなの?


「国保」だの「国民皆保険」だのといった名称なので国から請求されるもののようなイメージがありますが国民健康保険は「お住まいの自治体」にお支払いするものとなっており、自治体によって計算式や料率が異なるのでなかなか一概に言えないのが難しいところです。

いくつか計算方法はあるのですが「所得割+均等割」または「所得割+均等割+平等割」が主流と言えるかと思います。


[用語のご説明]

所得割

均等割

平等割

所得に応じて

1人あたりいくら

1世帯あたりいくら

※ 「割」とかつくので割引のことかなと思ってしまいますがそれぞれが請求項目です。




仮で計算してみましょう。

横浜市で41歳のご夫婦、お子様が3人いらっしゃるとします。


フリーランスの夫は年間700万円の所得。

妻、お子様に収入が無い場合を想定します。

横浜市は「所得割+均等割」で計算され、横浜市の「令和7年度 横浜市国民健康保険料試算」で計算してみました。


所得割:761,490円

均等割:269,945円

合計:1,031,435円

保険料総額:1,031,430円(端数調整)

ひと月あたり:103,143円(10ヵ月分)


という結果となりました。



所得700万円の世帯に国民健康保険料が103万円かかるわけですからこのケースでは所得のおよそ14.7%が健康保険に該当するわけですね。

ここに国民年金保険料を足してみましょう。

令和7年の国民年金保険料は17,510円/月ですから夫婦で17,510円×12か月×2人=420,240円が別途でかかるわけです。



所得700万円の世帯に国民健康保険料が103万円+国民年金保険料が42万円で合計145万円。

ざっと所得の20.7%がこのふたつのお支払いで無くなることになります。

つまりこのご夫婦のケースで言うと残り555万円から所得税や住民税、個人事業税や住居費を支払った後、手元に残ったお金が可処分所得になります。


ひとつひとつ冷静に計算すると国民負担率46.2%っていうのは本当にこういったケースでも当てはまるものなのかもしれませんね。





実際、国民健康保険料は下げることができるの?


こういう現状であることを考えると、国保を下げたいと考える人が出るのは当然なように思います。

前述の通り、国保は

所得割

均等割

平等割

所得に応じて

1人あたりいくら

1世帯あたりいくら

によって構成されていますので安くしようと思うなら「所得を下げる」もしくは「国保が下がる自治体を探して引っ越す」のいずれかしか選択肢はありません。

国保を下げるために所得を下げるのは本末転倒ですし、「国保が下がる自治体を探して引っ越す」のは横断して比較検討できるプラットフォームなどありませんので不可能なのが実情かと思います。






選択肢「国保を辞め、国保組合に入る」


ならば国保を辞めることはできないのか?

これも自然な発想です。


国保以外の選択肢として「国保組合」があります。

「国保組合」は特定の業種に従事する個人事業主やその従業員を対象とした公的医療保険制度です。


例えば建設業や理美容師、文芸・美術など様々な業種で組織されています。

組合によって保険料は値段も仕組みも異なり、安くなるかどうかはその方の家族構成や売上の状況にもよりますのでよく検討が必要です。




例えばデザインやアートを生業にしている個人事業主には「文芸美術国保」がよく知られています。

文芸美術国保は月額25,700円、家族は15,400円、介護保険料が月額 6,100円の固定の保険料になっています。(2026年1月参照時点)


先ほどの横浜のご家族が文芸美術国保に加入した場合を想定してみましょう。


夫41歳:25,700+6,100=31,800円/月

妻41歳:15,400+6,100=21,500円/月

子3人:15,400×3=46,200円/月

家族年間合計:(31,800+21,500+46,200)×12=1,194,000円


という計算結果となりました。


文芸美術国保は固定保険料のため、ご家族が多いとそのまま加算されていくためにこのケースでは国民健康保険よりも高くなる計算となりました。

しかし、単身の個人事業主にとっては保険料が抑えられる結果となることが多くなることと思われます。





国保組合も「高い」

だからこそ多くのフリーランスに響く社保削減サービス


ここまでの説明の通り、国民健康保険料を下げることは簡単ではありません。

そんな中、2026年に入って「国保逃れ」「社保削減スキーム」という言葉が聞こえてくるようになりました。

議員が国保を安くする目的で社会保険に加入しているのでは?という疑惑からその名が知られるようになりました。


冒頭にも説明した通り、フリーランスは会社に所属していないために社会保険ではなく、国民健康保険に加入します。

しかし、昨今では兼業は珍しいものではないため「会社に属しながらもフリーランスとして働く」という働き方も広く認められています。


簡単に言えば「収入の大部分はフリーランスとしての活動から得るものだが、社会保険加入条件を最低限クリアする形で会社に属して社会保険に加入し、健康保険料と年金保険料を削減する」のが社会保険料削減スキームです。



これにはいくつかの方法が知られていますがひとまず、「社会保険の加入条件」からクリアにしていきましょう。





社会保険の加入条件


どこか会社に所属する労働者として社会保険に加入するには以下のすべてに当てはまると加入することになります。


・週の労働時間が20時間以上

・月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)

・雇用期間が2ヶ月を超える見込み

・学生ではない

・従業員数51人以上の会社


または

・週30時間以上の勤務


と、結構な労働時間を勤務して初めて社会保険に加入できる条件となっています。

これは「労働者として」社会保険に加入するケースですが会社にはもう片方の「経営者・役員」がいます。

役員として社会保険に加入するには以下の条件に当てはまることが必要です。


・会社から役員報酬を得ていること


たったこれだけになります。

役員は労働時間で報酬を得ていませんから週の労働時間など関係なく「役員報酬」を出した瞬間、自動的に加入となります。



つまり社保削減スキームを成立させるには


・週20時間または30時間以上働き、8.8万円以上の給与を得る形で雇用されるか

・役員になり「役員報酬」を出してもらうか


のいずれかが条件になります。

この内、前者でやろうとすると相当な労働時間が割かれますので、本業のフリーランスの仕事もやりづらくなるため成立しにくい形と言えるでしょう






どれくらい削減できるの?


社会保険には「等級」というランクがあり、役員報酬が低いほど保険料が安くなります。

月額63,000円未満の報酬なら、一番下のランク(1級)が適用されます。


この場合、社会保険料は月額約1万円ちょっと(年間約13.8万円※)で済みます。

※ 個人負担分のみ


つまり、先ほどの横浜のご家族の夫がどこかの会社の役員になって6万円/月の役員報酬を貰えば

国民健康保険料:103万円

国民年金保険料:42万円

社会保険料:13.8万円

合計:145万円

合計:13.8万円

削減額:131.2万円


という保険料の大きな削減が可能になるわけです。

これを利用したのが社会保険料削減スキームというわけです。






社会保険料削減スキームの仕組み


社保削減スキームは「一般社団法人」がよく使われます。

私たちも一般社団法人ですが、私たちは取り入れていません。


一般社団法人として会員を理事にして5万円/月だの6万円/月だのの報酬を支払い、会員を社会保険に加入させ、国保・国民年金保険料を削減するサービスです。

代わりに会員からは8万円/月や10万円/月といった会費を支払っていただくことで成立するビジネスモデルです。


先ほどの横浜のご家族のケースで収支イメージを作成すると


社保削減スキーム利用前

利用後

国民健康保険料:▲103万円

役員報酬:6万円×12か月=72万円

国民年金保険料:▲42万円

会費:10万円×12か月=▲120万円

社会保険料:▲13.8万円

合計保険料:▲145万円

合計収支:▲61.8万円

削減額:83.2万円

という計算になります。


このケースでは

横浜のご家族は83.2万円の保険料を削減し、一般社団法人は120-72=48万円の収益を得た。

という結果になり、一見すると「みんなよかったね」というように見えるでしょう。






何が良くないの?


ポイントは「理事としての実態があるかどうか」であると考えられます。

本当は運営に関わっていないのに「私はこの協会の経営陣です」という虚偽の申告をして保険証を取得する行為である場合は健康保険法第208条に触れる可能性があります。


健康保険法第208条

事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第四十八条(第百六十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。


社会保険制度は助け合いが根幹となる制度で、加入者全員が平等に医療や介護にアクセスできるように多く負担できる所得の高い人が多くの保険料を負担する仕組みでできています。

そのため、社保削減スキームは「所得が高い人が経営に参画していない団体の理事になることで、社会のセーフティネットを食い物にする行為」であり制度の主旨に反するものとして問題になっています。



いくら社会保険料が高く、その使い方に納得がいっていないとしても制度の抜け穴を突いて主旨に反する行為をしてもいい理由にはなりません。


ましてや議員であればなおさらのこと。

この削減された社会保険料が誰かの負担にのしかかっていることを考えるととても許し難い行為と言えます。

そういうわけで私たちは実態の無い社保削減スキームには反対の立場をとっています。




結局どうすればいいの?


国民健康保険料は確かに高いです。

しかし、だからといって安易に甘い言葉に誘われずしっかりと実態を見極めていただきたいと思います。


また、そういったサービスを使うのではなく「収入を上げる」方に目を向けてみてください。

国民健康保険料には上限があります。


令和6年度の国の標準額ベースでは介護保険料を合わせても年間106万円が上限です。

先ほどの横浜のご家族は103万円ですから、もう上限間もなくです。

40歳以上の5人家族は所得700万円あたりで国民健康保険料が上限近くまで達してしまうのです。



所得をどんどん上げれば国保の負担割合も減ってきます。

(所得税の負担割合は上がりますが...)


ですから削減に目を向けるのではなく、収入が上がる方に目を向けていけば目線も上がり明るい世界をつくっていけるのではないかと思います。

私たちはそんな風に考える方と一緒になにかプロジェクトをしたいと思っております。




 
 
 

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