あなたの取引先は大丈夫?フリーランス新法対応を8個の質問で簡易チェック
- 伴 真知佳

- 2025年9月17日
- 読了時間: 9分
更新日:2月19日
令和6年(2024年)11月1日に施行された:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)」は、フリーランスの労働環境を大きく改善し、取引先に新たな責任を課す法律です。
この法律により、契約内容の明確化や報酬の支払い期限、ハラスメントの禁止などが義務付けられました。
しかし、実際に取引先が新法に沿って対応しているかどうかは、フリーランス自身が確認する必要があります。この記事では、取引先の対応状況を簡単にチェックできる8個の質問リストをご紹介します。
取引先チェックリスト:フリーランス新法対応版
以下の項目を確認することで、あなたの取引先が法律に沿って対応しているか簡単に判断できます。
1. 契約内容の明示化
契約書は書面または電子データで提供されていますか?
フリーランス新法では、取引先は業務内容・報酬額・支払期日などを明示した契約書を必ず提供する義務があり、以下の項目が含まれる必要があります。
例:業務内容、報酬額、支払期限、支払い方法など
口頭だけや曖昧な内容では不十分です。
2. 支払い期限の遵守
報酬は業務完了から60日以内に支払われていますか?
契約書に明記されていなくても、業務完了後60日以内に報酬を支払うことが義務です。遅延や無視は法律違反に該当します。
二次請けなど再委託で受託している場合はもう少し要件が厳しくなります。
元請け(一次請け)は発注者から支払いを受ける予定日から起算して、二次請けのフリーランスへは30日以内の支払いを設定しなければなりません。
これは元請けの都合でフリーランスが何か月も待たされることを防ぐためのルールとなっています。
3. 不当な取引慣行の禁止
報酬の無断減額や一方的な契約解除はありませんか?
取引先が不当な取引慣行を行っていないか確認しましょう。無断減額や理由のない契約解除は新法で禁止されています。
「不当な取引」として具体的に禁止されている行為は次の通りです。
フリーランスに対して一か月以上の業務を委託した場合には以下の7つの行為が禁止されています。
受領拒否(注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと)
報酬の減額(あらかじめ定めた報酬を減額すること)
返品(受け取った物品を返品すること)
買いたたき(類似品等の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること)
購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)
不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)
不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後にやり直しをさせること)
4. ハラスメントの禁止
パワハラ、セクハラなどのハラスメントはありませんか?
フリーランスも労働者同様、ハラスメントから守られる権利があります。精神的圧迫や不適切な指示がある場合は問題です。
また、フリーランスへ発注する委託者はフリーランスから「ハラスメントを受けた」あるいは「これってハラスメントなのでは?」という申し出や相談に対して適切に対応するための体制の整備、その他必要な措置を講じなければなりません。
あなたがもし「ハラスメントなのでは?」と思えるような事案が起きた時にそれを相談する窓口やきちんと対応される仕組みを整えないこともフリーランス新法の中では誤った運用とされています。
あなたがフリーランスとして「ハラスメントされているかどうか?」だけでなく「発生した時、疑われる時」に守られているかどうかもチェックポイントのひとつと言えます。
5. 契約解除の正当性
契約解除の際、正当な理由が示されていますか?
取引先は、契約解除の理由を明確に提示する必要があります。正当な理由のない解除は法律違反となります。
6. 交渉の権利
報酬や契約条件について交渉可能ですか?
不当に低い報酬を提示された場合、交渉する権利があります。合意なしに押し付けられた条件は問題です。
7. 書面交付の請求
契約書の書面交付を請求した際、迅速に交付されますか?
フリーランスからの請求に対して遅滞なく書面を交付することは、取引先の義務です。
8. 記録の保存
契約内容ややり取りの記録は適切に保存されていますか?
SNSメッセージや口頭だけでは消失のリスクがあります。スクリーンショットやPDFなどで記録を残すことが推奨されます。
委託事業者はこれらに違反していると「行政指導」または「勧告」処分の対象となる可能性があり、場合によっては罰則が科される可能性もあります。
なぜこのチェックが重要なのか?
フリーランス新法は、フリーランスが安心して働くための法律です。
取引先が法に沿って対応しているかを確認せずに契約を続けると、無理な条件で働かされるリスクや報酬未払いなどの問題に直面する可能性があります。
特に、低単価での買い叩きや一方的な契約解除、ハラスメントはフリーランスの活動を大きく阻害します。このチェックリストを使って、取引先の適正性を見極めることが重要です。
チェック後の対応方法
1.不安な項目がある場合は記録を残す
メールやチャットでのやり取りを保存しておくと、後で法的根拠として活用できます。
2.取引先に改善を求める
不当な取引や曖昧な条件については、契約前や契約更新時に改善をお願いしましょう。
3.必要に応じて第三者へ相談
弁護士やフリーランス支援団体に相談すると、安心して対処できます。
フリーランス新法は、フリーランスが正当な条件で働くための大きな一歩です。取引先が法律に沿っているかどうかをチェックすることで、無理な条件での契約や報酬トラブルを未然に防ぐことができます。
この8個の質問を活用して、まずは自分の取引先が新法に対応しているか確認してみましょう。安心して働く環境を作るためには、自分の権利を知り、取引先との関係を適切に管理することが不可欠です。
フリーランスを「こきつかう」事業者も巧妙化
クラウドソーシングでは受注してはいけない案件は「地雷案件」と呼ばれ、心なしか対処法も世に広まっているように思いますが、リアルな現場の気をつけるべきことはあまり世に出ていません。
受注側のフリーランスとしても対面した相手をインターネット上で赤裸々に貶めることができない故のことだと思います。
ここではフリーランスのMさんが実際に体験したお話「一年目の新人フリーランスを狙い撃ちにする企業」をご紹介します。
Mさんは独立した一年目から複数の案件を抱える腕の良いフリーランスです。
お世話になった会社員時代の先輩からご紹介をいただいたりすることで生計を立てていました。
そんな中関わりを持った広告代理店のA社さん、スポットで案件をひとつ依頼され無事に納品した数か月後、「Mさんと年間契約で業務委託契約を結びたい」と申し出がありました。
金額は500万円/年。
Mさんにとっては破格の金額です。
ひとつ仕事を共にしていることもあり、Mさんは迷いなく承諾しました。
MさんはA社さんの案件で手が一杯になり、他の案件を請ける暇が無くなっていきました。
一年が過ぎる少し前、A社さんから「担当が変更になる」連絡を受け、新しい担当者さんと仕事をするようになり次年度の契約の話を迎えました。
新しい担当者さんからは「少し外注予算を減らすみたいで、申し訳ないのですが金額以外の条件はそのままで、450万円で請けてくれませんか?」
Mさんは少々面食らい、かなり戸惑いましたがMさんはここ一年間営業をしていません。
A社さん以外に取引先が無いのです。
初めての交渉に戸惑いましたが断る選択肢が無く「まぁ450万円でも生活できるし、真面目に仕事をすれば来年は元に戻してくれるだろう。」と考え、Mさんはその条件で契約を更新することにしました。
この一年間もMさんは初年度と同じようにミスなく一生懸命に働き、A社さんの期待に応え続けました。
初めに契約してからさらにもう一年が過ぎる少し前、A社さんから昨年同様に「担当者が変わる」と連絡を受け、同じように三年目の契約の話を迎えました。
さらに新しい担当者さんから聞いた言葉は
「来年なのですが420万円でお願いできませんか?」
ここでMさんはA社さんを甘く見ていたことを理解しました。
理解はしたがこの契約を断るわけにもいかない。
断るとまたゼロからのスタートになる。
どうにか交渉したいMさんですが二年間で一千万円近くの発注をしてもらっている相手であり、契約を切られた時のことを想像すると、勇気が出ず言われた条件で来年も契約することにしました。

冒頭、「こきつかう」と表現しましたがA社さんがとった行動を振り返ってみると
・外注先と合意した金額で年間契約を結び
・癒着を防ぐため、担当者を変更した
・コスト削減のため価格交渉の上、合意した内容で再度契約を結んだ
という普通の企業活動をしておりフリーランス新法に違反しているとは言えません。
フリーランス新法によって個人事業主が正当な条件の元で働きやすくなっているのは間違いありませんが、法律だけで守られるわけではありません。
フリーランスとして活動するには正しい知識や勇気が必要で、付け加えて利害関係の無いフラットな立場からの助言があるとより活動に安心感が出ることでしょう。
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この記事はHonmono協会の社労士 伴 真知佳さんの監修によって作成いたしました。

フリーランス新法に対応している取引先を見極め、自分の権利を守ることは非常に重要です。しかし、法律の解釈や最新情報のすべてを、本業の傍らひとりでキャッチアップするのは簡単ではありません。
そこでおすすめなのが、信頼できる情報源を持つことです。
当協会では、メンバー向けに、社労士による定期的なセミナーを開催しています。
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