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ホンモノ対談Vol.2  介護・福祉ベンチャー『Blanket』× クリエイティブ集団『Homono』(後編)

更新日:2022年3月1日



介護・福祉事業者の人事支援や、介護に関心を持つ人たちが集まるコミュニティ

「KAIGO LEADERS」を展開する『株式会社Blanket』と映像の共同制作を実施いたしました。


PV制作完成に至るまでの軌跡や “介護・福祉業界の可能性を広げるクリエイティブ” を、

『Blanket』代表取締役の秋本 可愛さん、取締役の野沢 悠介さん、

『Honmono協会』代表 三井所氏 、プロデューサー長根氏の対談形式でお届けます。


今回は後編です。

クリエイティブと介護の未来について熱く語ります!


前編を見逃した方はこちら


株式会社Blanket 代表取締役 秋本 可愛

山口県光市出身。2013年、株式会社Join for Kaigo(現Blanket)設立。

日本最大級の介護に志を持つ若者のコミュニティ「KAIGO LEADERS」発起人。介護人材の採用・育成・定着のアップデートを目指す「KAIGO HR」などを運営する。



株式会社『Blanket』取締役 野沢 悠介

2017年にJoin for Kaigo(現Blanket)取締役に就任。

介護・福祉事業者の採用・人事支援や、採用力向上のためのプログラム開発などを中心に「いきいき働くことができる職場づくり」を進める



一般社団法人Honmono協会 代表 三井所 健太郎

福岡県出身。KDDIにて法人向けITコンサルティングを担当後、2019年一般社団法人Honmono協会を設立。

前職で培ったビジネス×クリエイティブのスキル、日本各地に眠るアート×カルチャーの力を組み合

わせ、新たな働き方や伝統文化を生み出す為、ティール型プラットフォーム「Honmono」を立ち上げた。現在、法人・個人含め56団体が参画中。



一般社団法人Honmono協会 理事 長根 汐理

青森県八戸市出身。進学をきっかけに上京し、大学卒業後は日本郵便株式会社に就職。3年後に同社 を退職し、メディア運営を得意とするITベンチャーで働きながら、地域活性プランナーとして地方創生事業に携わる。

2019年に株式会社いろは設立。「価値あるものが、きちんと認められる世の中を創る」をモットーに、企業のPR支援や新規事業の立ち上げをサポートしている。


ライター 結衣

福岡県北九州市出身。Honmonoチャレンジメンバー第1期生として、ライティングや編集を学ぶ。実戦経験が認められ、Honmono@コラボメンバーに昇格。

今後、インタビューや写真撮影のスキル習得にも力を入れていく若き女性ライター。



“自分ごと” で考える社会に。介護とクリエイティブを掛け合わせることで踏み出す1歩。


秋本さん

これから介護の需要が増えていきます。


”人を集めてとにかく働いて解決する” だけではなく、ゲームチェンジをする必要があると思っているんです。

そのためにはクリエイティブを活用し、新しいアイデア、スキーム、チームワークで介護の課題を解決できると思っています。


『Blanket』として今後力を入れていきたいですね。


三井所

野沢さんは「自社はわがままでいろいろなことをやっている」とおっしゃっていたんですが、それはすごく本質な気がしているんです。


今の世の中って一つひとつの課題が複雑に絡み合っています。

1つの課題に真剣に取り組むと、その裏に隠れてる課題が2、3個顔を出してくる。


本気で介護の本質的な課題に向き合ってるからこそ、紐づく一つひとつの課題に目を背けることができないんだろうなと。



野沢さん

そうかもしれません。


三井所

そのためには秋本さんが言われるように、ゲームチェンジを行える新たな視点やリソースが必要なんでしょうね。


野沢さん

そうですね。


「介護」とか「高齢化」って、これからの日本社会において誰にとっても身近なことなんですけど、「触れたくないから人ごとにして、ちょっと見えないようにしている」という方が多いと思うんですよ。


考えなければいけない、そして、大事なのはわかっているんだけど、できれば考えたくない、と。


三井所

確かに。

どこか遠い問題にしてしまいがちです。


野沢

ただ、5年後、10年後、どんどん高齢化が進んでいき、そうもいっていられない時がきます。


その時に「ついに来てしまった、嫌だな」というのではなく、もっと早い段階から前向きにポジティブに「介護」や「高齢化」の問題と向き合えれば良いなと思うんです。


“仲間” がいることで変わることがある。前を向く力になる。


三井所

そのためには、介護業界だけではなくて、社会全体で考えていかなければならない


野沢さん

そうですね。


重要なことは「介護」や「高齢化」というテーマを “人ごと” ではなく、いかに “自分ごと” で捉えられるプレイヤーを増やすか、なんです。


秋本さん

『KAIGO LEADERS』は『Honmono』の皆さんと考え方としては近いかもしれません。


介護領域の中にいる人も周辺で関わっている人も、問題意識を抱えている人はたくさんいるんです。ただ、孤立している時って、言葉にするのに勇気が必要だったり、自分なんかできないと思ってしまったり。


でも、仲間がいれば、そうではないかもしれない。


長根

確かにそうですね。


秋本さん

今はコロナの影響もありますが、介護の仕事って施設の中だけで暮らしや人間関係が完結してしまうんです。


一方で、家で介護をしている人も ”家族の介護の問題” って外に出しづらかったり言いづらかったり。『KAIGO LEADERS』を通じ、人と人とが繋がることによって、前を向く力に変えるきっかけを作れたら良いなと思っています。


三井所

同じ想いです。

『KAIGO LEADERS』は今何人くらいいらっしゃるんですか?


秋本さん

今までの総参加者は4,000人くらい。

「SPACE」というオンラインコミュニティに参加している人が200人弱くらい。そのうち5、6割が専門職で、残りは意外と介護以外の業界の人たちなんです。


最近は、家族と介護の両立支援をする社団法人を立ち上げたり、同じ課題意識をもつ人が集まってプロジェクトを進めていたり。


三井所

面白いですね!

『SPACE』私たちも登録しましょう!


秋本さん

ぜひぜひ(笑)


野沢さん

オンラインのイベントがあって、コミュニティのテーマや内容に興味があればどなたでも参加可能なんです。

6割が介護系・福祉系、4割は全然違うジャンル。学生さんから、上は65歳まで!


秋本さん

行政の方もいれば、家族の介護という当事者として来られている方も。いろいろな課題、そして可能性に触れられるんです。


そこで『Honmono』の皆さんが入っていただくと、できることがもっと増えていくと思うので、ぜひご一緒できたら嬉しいです!……って、私たちの宣伝みたいになっちゃった!(笑)


長根

ひとりではできなくても、共有できる仲間がいることでできることってたくさんありますからね。


秋本さん

本当にそうですね。


大学生の頃、いろいろな課題を見過ぎてしまって「全部解決するためにはどうしたら良いんだろう!」と思ったんです。

でもやっぱりひとりの力では難しいし、問題は複雑に絡み過ぎている。気づいた人が自分の身の回りから少しずつ幸せになれる社会や世界を作っていくのが、いちばん早いのかも。


三井所

「国が」「自治体が」ではなくて、まずは「自分が」「自分たちが」ということですね。それが正攻法だし、いちばん確実なんだろうなと思います。


福祉に携わる人は、きっとこれからの社会の「キーパーソン」になる。その可能性を担うクリエイティブの力。


野沢さん

福祉に携わる方って、謙虚というか、控えめな思いを持った方が多いなと感じています。


良いことをしていてもそのことを「私たちはこんな良いことをしています!」と “発信” することに抵抗感がある。言葉が適切かはわからないですけど、それゆえの「もったいなさ」ってあると思っています。


福祉は地域の中でたくさんの人と交わりながら、いろいろなことができる可能性を持っているし、それができるパワーを持っている人がたくさんいるんです。


三井所

それは感じました。


すごく衝撃を受けたんですが、現場のスタッフさんが「福祉って、実は面白いんですよ」とこっそりと、でも目を輝かせながら言うんです。


「福祉って、毎日、正解がないんです。 今日の利用者さんの接し方の正解が、明日になったらもう正解ではなくなっているんです。だからこそ、その時その時で頭を働かせる、すごく “クリエイティブな仕事” なんですよ!」って伝えてくれたんです。


「あっ!その魅力を伝えると面白いな!」と思ったんですよね。


長根

想いがある人たちって絶対いるじゃないですか。


今はたとえバラバラだとしても、そういう人たちを繋いであげるのもまたクリエイティブの力なんだろうなってすごく思うんですよね。


秋本さん

まさにそうですね。

クリエイティブがあるからこそ、人と人とが繋がる。

立場によって、どうしても境界が生まれてしまうところを、その立場を越えて繋ぐ力がクリエイティブにはすごくあるなと思います。


長根

そうなんですよね。

今は映像にしてもWebにしてもSNSにしても、業界的にまだそこに向いている方ってそんなに多くないと思うんです。介護や保育など、福祉全体としてアナログなところでやってきた。


でも、次のステップに行くためのひとつのきっかけが、まさにクリエイティブ、新しい繋がり方、アイデア。

そういったところで未来の可能性を感じていますね。