
ホンモノ対談Vol.4 東京メトログループ×Honmono
更新日:2022年2月14日

Honmono協会では、「ホンモノの力を結集し、日本を元気にする。」というビジョンのもと、志あるクライアントさまと一緒に、より良い社会を共創することを目指しています。
公益財団法人メトロ文化財団が主催する「メトロコンサート」。
例年は、地下鉄博物館ホールや渋谷駅構内で開催していましたが、
コロナ禍の影響もあり、今年はオンラインでの開催となりました。
当日は、「メトロコンサート´home theater´~サクソフォン五重奏のハーモニー~」と題し、次世代を担う若手演奏者5人からなるサクソフォン・クインテット『Five by Five』が、ジャンルや世代を超えた全6曲を披露。演奏は、その場にいるかのような立体感のある音を再現できるバイノーラル録音で収録し、オンラインでも臨場感溢れるハーモニーを楽しめる内容となりました。
今回は本プロジェクトに携わった、公益財団法人メトロ文化財団(以下、メトロ文化財団)、株式会社メトロアドエージェンシー(以下、メトロアド)、一般社団法人Honmono協会の3社で、ライブ映像の制作過程や、カルチャー×クリエイティブの可能性などを対談いたしました!

公益財団法人メトロ文化財団 大谷さん
埼玉県出身。1986年東京メトロ(旧営団地下鉄)入社、2015年よりメトロ文化財団勤務
現在、各種イベント及び地下鉄博物館の運営等事業全般を担当

株式会社メトロアドエージェンシー 森さん
大阪府出身。2020年(株)メトロアドエージェンシー入社。現在、東京メトロ及び東京メトログループ会社をクライアントに営業を担当

一般社団法人Honmono協会 代表理事 三井所健太郎
福岡県出身。2019年一般社団法人Honmono協会を設立。
日本各地に眠るアート×カルチャーとビジネスの力を組み合わせ、新たな働き方やプロジェクトを生み出すプラットフォーム「Honmono」を立ち上げた。現在、法人・個人含め56団体が参画中。

一般社団法人Honmono協会 川上
東京都出身。映像ディレクター。
企業向け映像制作会社、電鉄会社、アニメ制作会社、出版社を経て、2014年からフリー。
映像制作を初めて約20年。ベータ、VHS時代を経て、2002年にデジタルへ移行。企業向けの実写映像を中心に活動し、近年では企業向けのアニメーションに力を入れている。

インタビュアー 一般社団法人Honmono協会 長根汐理
青森県八戸市出身。進学をきっかけに上京し、大学卒業後は日本郵便株式会社に就職。3年後に同社 を退職し、メディア運営を得意とするITベンチャーで働きながら、地域活性プランナーとして地方創生事業に携わる。
2019年に株式会社いろは設立。「価値あるものが、きちんと認められる世の中を創る」をモットーに、企業のPR支援や新規事業の立ち上げをサポートしている。
音楽からアートまで!「鉄道」を介して文化の魅力を発信する
長根
本日はありがとうございます!
早速ですが、公益財団法人メトロ文化財団の事業目的や事業内容をお伺いしてもよろしいでしょうか?
大谷さん
はい。
当財団では地下鉄に関する知識の普及と交通文化の発展に寄与することを目的としています。
事業の柱は3つありまして、一つは地下鉄博物館の運営ですね。
もう一つは、交通文化事業と言いますが、今回開催した音楽会の開催などの文化活動です。他にもメトロ児童絵画展や写真のカルチャー教室なども行っています。
あとは交通マナー事業という、交通マナーの啓蒙活動ですね。

長根
なるほど。今回のプロジェクトが立ち上がったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
大谷さん
交通文化事業の中でも、特に音楽に力を入れています。
毎年、地下鉄博物館の中にあるホールや渋谷駅構内、また高齢者施設や病院などに出向いてコンサートを開催していました。あとは年に1回、芸術劇場やサントリーホールで本格的なクラシックコンサートも行っていましたね。
そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大という予想だにしなかった出来事が起こり、リアルなコンサートは全て中止せざるを得なくなりました。
そこで、オンラインでのライブ配信という案がでたのがきっかけになります。
長根
ちなみに、コンサートの開催自体は長いのですか?
大谷さん
コンサートによりけりですが、長いものだと20年前くらいからやっているものもあります。ある意味天災が原因とはいえ、年間通して何もできなかったという状況は初めてでしたね。
長根
なかなかリアルでのイベントは厳しいですよね。
メトロアドエージェンシーさんとの関わりはどのような形だったのでしょうか?
森さん
東京地下鉄株式会社(東京メトロ)の広報部サステナビリティ推進室がメトロ文化財団の所管部署になるのですが、そちらからコロナ禍でコンサートが難しいので、何か提案してもらえないかとお話をいただきました。
そこで色々と検討する中でオンライン配信という方向性が見えてきて、実際にプロジェクトとして立ち上がった形になります。

クリエイティブだからこそ伝えることができる文化の魅力
長根
今回のプロジェクトで、映像制作をHonmono協会に依頼しようと思った理由を教えてください。
森さん
フレキシブルに動けるなど基準はいろいろありましたが、Honmono協会さんのHPを拝見した時に、過去にも「文化との融合」となるような映像を制作をしていたので、文化事業と融合性が非常に高い業界の方々だと思ったのが理由ですね。
長根
嬉しいですね、三井所さん。
三井所
ありがたいですね。今回ディレクションを担当した川上も、音楽やってたんですよ。
川上
はい。音楽もやってましたし、あとメトロ文化財団さんには何回かお話しましたが、私、前職が駅員でして。
音楽も好きですし、鉄道会社の文化財団の案件というのが本当に嬉しくて、他の人にはやらせたくないってくらい前向きに二つ返事で三井所さんにお返事しましたね。
長根
すごいですね(笑)
ちなみに森さん、実際の制作の過程はいかがでしたか?打ち合わせをたくさん重ねられたと伺いましたが...!
森さん
そうですね。結構長いプロジェクトになりましたね。
三井所
初めてのことですもんね。
森さん
オンラインでのライブ配信が初めてでしたので、メトロ文化財団さんやHonmono協会の皆さんにご意見をいただきながら、いろいろと議論を重ねて企画を作りました。

長根
今回、バイノーラル録音(※)を採用されていますが、最初からアイディアとしてあったのでしょうか?
※ 特殊な録音方法により立体的なサウンドを実現することで、直接その場に居合わせたかのような臨場感を再現できる方法
森さん
そうですね、せっかくオンラインで配信するなら、オンラインならではの面白い演出は実現したいと考えていました。
長根
制作の過程で難しかったり、大変だと感じたポイントはありましたか?
森さん
その点でいうと、バイノーラル録音のご提案がメトロ文化財団さんにどのように受け止めていただけるかは不安でしたね。公益財団なのであまり派手になりすぎない方が良いと思っていたので。
三井所
今回、本プロジェクトに関わる誰もが初めての挑戦であり期待と不安を抱えていました。
どのやり方がベストか判断がつかない中で川上に相談したところ、「よし、バイノーラルもステレオも両方撮りましょう。良い方を使いましょう!」と。
結果的には、両方のパターンを配信することで音違いを楽しめる作品になったかと思います。
幅広い人が利用する鉄道だからこそ、世代や性別を超えて楽しめる音楽を
長根
Five by Fiveさんにオファーされたのは、どうしてですか?
大谷さん
幅広い年齢層に楽しんでいただける内容にしたいと思いました。心に潤いや癒しを与えられるような音楽ですね。あとは、若手演奏家への活動の場の提供を念頭においていますので、そこで候補が上がったのがFive by Fiveさんでした。
長根
なるほど。
実際にFive by Fiveさんの音楽を聴いて、いかがでしたか?
大谷さん
やっぱり技術があって上手ですし、心に響くものがありました。開催するコンサートはクラシックが多いのですが、サクソフォンなのでジャズ的な要素もあって幅広い世代にも楽しんでいただけかと。

三井所
選曲も幅広かったですが、何かリクエストされたのですか?
森さん
いえ、全てFive by Fiveさんで決められてましたね。
先ほどの大変なだったことの話に少し戻るのですが、初めの企画だったので全員のイメージや方向性があまり定まっていなかった中、Five by Fiveさんの実際の演奏をリハーサルで聴いたことで、よりライブのイメージが鮮明になり、方向性も定まった気がします。あの時は、とても良い体験でした。
川上
そのエピソードで言うと、私たちもリハーサルでFive by Fiveさんの演奏を実際に聴いて、より映像や収録のイメージが固まったところがあります。私はずっとコントラバスをやっていたので、弦楽器であればどのパートをどう撮影すれば良いかなんとなく頭にあったのですが、サクソフォンは初めてで。それが、実際に演奏を聴いてみて、方向性や演奏のイメージがより明確になったのがとても良かったです。
三井所
そうですよね。それまでは、共通言語がないというか、お互いに手探りな感じでしたよね。
長根
川上さんはクリエイターとして、撮影時に気をつけていたポイントなどはあったのでしょうか?
川上
そうですね。
こだわりがあるとすれば、弦楽五重奏であれば見た目でどの楽器なのか分かるんですが、サクソフォンはなかなか判別が難しく、パッと見た時に誰が弾いているのか分かりにくい。なので、誰がどのパートを演奏しているのかを把握するために、曲のサンプルデータ聴き込んで勉強しました。
あとは、クリエイターとして演奏者の個性を引き出すために、どのパートで誰を撮るのか、どこで寄るのかは、カメラマンとかなり打ち合わせしましたね。
ただ綿密に計画したのですが、いざ現場に入ってマイクを立ててみたら想定していた画角が違うということもあって...。そこは実際に現場で調整しながらやっていましたね。
三井所
現場でも作りながら、でしたもんね。
森さん
約20分の映像を、一日かけて撮影していましたね。一曲2時間近くかかるものもあったりとか。
長根
大変ですね!良いところを切り取っていくためにかなり入念に準備されたんですね。
川上
そうですね。とにかく準備しました。
大谷さん
そんなに準備されていたなんて、想像していませんでした。
技術的なことは全く分からないので、ほとんどプロにお任せ状態でしたね。どんなものができるのかなって不安がありました。

長根
実際の完成した動画はいかがでしたか?
大谷さん
あのように仕上がると思っていなかったので、ホントに驚きました!
想像以上でした!
川上
実は、かなり遊びました。
エンジニアの方が音もかなり派手に作ってくださったし、Five by Fiveの宮越さんもこういう音を作りたいとエンジニアと直接やり取りしていただきました。最後の最後ギリギリまで、エンジニアの自宅のスタジオに行って一緒にやったりとか...。