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Honmono Voice #9 大竹 一平(おおたけ いっぺい)

更新日:2021年11月5日


あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

2021年、コロナに右往左往しつつ、またいろいろなことが起きる1年になりそうですね。

とはいえ、僕らは自分の歩幅で前に進むだけです。

丑年だし。

2021年1月7日



せっせと瞑想の小屋づくり


小屋づくりからの流れ


 流れという言葉が好きです。

 「流れる」と「流される」、受ける意味は真逆になりますが、それでも「滞留」よりはましだろうと思うぐらいに。


 そして僕らHonmonoにとっても新たな流れは(まだ小さいけれど)いくつか生まれていて、そのせいで最近は流されるままによく埼玉県の幸手市に行ってました。

“幸せの手”と書いて幸手(さって)、どこにあるか分かりますか?

去年の10月末から12月にかけては毎週、週1回は通ってました。

ヤギが二頭いる広い敷地と倉庫のようなアトリエを持つ彫刻家、小林晃一さんによる「瞑想の小屋」づくりの手伝いです。


 傘のような形をした鉄の棒に金網をグルグル巻き付けた骨組みに、田んぼの土に発酵した藁やらを混ぜてつくった土壁を塗る瞑想の小屋。

その土壁が厚さ15cmほどになるまで、秋から冬にかけて毎週毎週、朝10時前からとっくに日が沈んだ17時過ぎまで、土を塗り続けました。

ずっしりねっとり存在感溢れる重さと質感の土を、しまいには右肩が痛くなるほどせっせせっせと。


 自分だけでなくHonmonoメンバーも参加したり、近所のご家族が子ども連れで参加したり。

朝7時に家を出る早起きはなんですが、行ってしまえばワイワイ充実感のある1日になるし、知らない人とでも同じ作業をしていくうちに気持ちが通じ合っていく感覚が楽しくて、気づけば最後までやり通していました。


 そしてその感覚こそが、まさにこれからやろうとしていることにつながります。


 実は、小屋づくりには瞑想以外にもう1つ、テーマがありました。

ある日の小屋づくりを終えた夕方、おつかれさまの焼酎お湯割りを手に小林さんはこんなことを言ってました。


 「本物の素材を使って、時間をかけて、ものづくりをする。今の時代だからこそ、そこから得られるものが絶対にある。だから、そんなものづくりを通した企業向けのセミナーをやりたい」


 オレンジに燃える薪ストーブが暖かな、ほっこり広々としたアトリエです。

こっちはこっちで缶ビール片手に「へー。そうなんですか。企業セミナーですか」と、ほどよい疲労感の中、その時はぼけーっとのんきに聞いてたのですが。

 結果として、そのためにこの1月と2月も、毎週幸手に通うことになりました。また早起きして。



ならば、やってみよう


 「創造力が生むチーム力」をテーマに、ものづくりを通した企業セミナー。

 進むために、立ち止まる時間をつくるセミナーです。

それをきちんと意味あるものにできるものか。

Honmonoメンバーでテストをします。

1月は石、2月は寄木を使って、参加者みんなで1つの作品をつくります。


そう、実際に小屋づくりをしていて感じたことがありました。


 青空の下、無心になって手を動かし土を塗る中、意識の端でなにかがチカッと閃く瞬間を。

 夕焼けに包まれながら、気持ちの奥でじんわり広がる柔らかで温かな感情を。

 星空を見上げながら、未来へ向けて根拠なく湧くワクワクする鼓動を。


 ならば、やってみよう。

 このご時世、今後ますます“人が集まる場”をつくるのは難しくなるかもしれません。

 でもだからこそ、“集まれる場の価値”の代えがたさに気づく人が出てくるかもしれません。


ただでさえ参入が難しそうな企業セミナー、勝算なんて分かりません。

でも、やってみよう。

滞留が生むのは淀みと濁り。

水も人も組織も、流れ続けるから生き生きと躍動し、輝けるはずだから。



<恒例の最後に一句>

春の海 流れ流され のたりかな



そして流れはつづきます。


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