調和の達人。  【金胎陶芸家 犬塚崇文】

最終更新: 5月12日

彫金と陶芸。伝統と革新。和と洋。テクノロジーと偶然。

相反する要素を調和させ、独自の小宇宙を生み出す達人の名は、hitotoiのデザイナーであり金胎陶芸家の犬塚崇文氏。展示会の開催を控えた10月の終わりにお話を伺った。


「金胎陶芸」って?


——「金胎陶芸」という言葉は犬塚さんの造語だそうですね。


犬塚:はい。hitotoi独自の技法を表すために、この言葉を考えました。原料を独自に調合して作り上げた陶芸釉薬を金属に焼き付けて作ります。一般的に金属の色付けに使われる七宝焼きのつるんとした表情とは違い、陶芸のような微妙な変化や深みのある風合いが特徴です。


——金属に陶芸釉薬を焼き付けるというのは、難しい技術なんですか?


犬塚:そうですね。通常1200℃くらいで焼成する陶芸ですが、シルバーなどは950℃くらいで溶けるため、釉薬が850℃以下で溶けるように独自に配合して釉薬を作ります。温度、原料配合の割合により発色などすべてが変化するため陶芸のデータは使えません。多くの実験、失敗を重ね手探りで研究して作り上げました。


——直径5cmくらいでしょうか。大ぶりのブローチですが、手に取ると薄さ・軽さに驚きました。これならスカーフなどに付けても重さで垂れ下がる心配がありませんね。また、角度によって様々に変わる表情が面白く、じっと見続けてしまいます。


犬塚:これは非常に薄く形を整えた銅を使用した、エアーコレクションというシリーズの作品で、空気のような軽さと陶芸の多彩な表情を兼ね備えた点が特徴です。銅はハンドメイドで加工したり、デジタル鍛金という技術を用いたりしています。

陶芸釉薬でのコーティングは、わざと不安定な要素を残した状態で行います。それによって偶然生み出される風合いが、陶芸らしい多彩な表情になるんです。


——画面越しでは伝わりきらない表情の変化や手に取った時の感触を、ぜひ多くの方に体感していただきたい作品ですね。いくら眺めても飽きない。なんとも言えない臨場感があります。


「新しい伝統工芸」を創る。


——彫金と陶芸。この、ありそうで無かった組み合わせが生まれたきっかけを教えてください。


犬塚:あるブランドのプロジェクトで陶芸的な質感を求められたのがきっかけです。そのトライがとにかく面白かった。そこから追究が始まりました。


——釉薬だけでなく、彫金の面でも様々な追究をされていますね。3Dプリンターなども駆使されているとか。


犬塚:そうですね。3Dプリンターは決して万能ではなく、何でも作れるとは限りません。ただし道具として使いこなすと面白いし非常に便利です。使い方は大きく2種類あって、ひとつは制作の時に使う土台など、道具を作ること。もうひとつは、この茶器ラインのようなシルバーなどの原型を作ることです。プログラミングによってこの壺のような形を様々に作り出すことができるんです。




——茶器ライン!小さな壺みたいでかわいらしいです。全部違う形ですね。


犬塚:プログラミングの為せる業ですね。数値を変えることで、いくらでも違った形を作り出すことができます。3Dプリンター以外にも、デジタル技術を取り入れている箇所はいくつもあります。

日々進化するテクノロジーと、陶芸など伝統工芸の技法を調和させることで、どこでも見たことがないのに懐かしさも感じさせるような「新しい伝統工芸」を創っています。デジタルとハンドメイドのハイブリットとも言えますね。


新しい伝統芸能のこれから。


——今後トライしてみたいことについて、可能な範囲で教えてください。


犬塚:「声で作るジュエリー」には力を入れたいと思っています。その名の通り、人の声の波形を用いてデザインするジュエリーです。まだ詳細についてはお話できませんが、人の気持ちがこもった作品になると思います。様々な展開を考えていますので、ぜひご期待ください。


——どんなプロジェクトになるのか、とても楽しみです。

さて、ここまでご紹介させていただいた犬塚さんの作品を実際に手に取ってご覧になりたい方も多いのではないかと思います。11月1日から30日にかけて開催中の展示会についてご紹介ください。今年9月末にオープンしたばかりの話題の施設・コレド室町テラスが会場だそうですね。


犬塚:はい。展示販売企画展『meta mate art & craft project #2「金属と造形」』に出展しています。先ほどお話したエアーコレクションや茶器ラインも持って行きますので、ぜひ実物を見ていただけたらと思います。


——会場など詳細は、event informationをご参照ください。犬塚さん、本日はお忙しい中、興味深いお話をありがとうございました。


犬塚:ありがとうございました。


——犬塚さんのブランド「hitotoi」「金胎陶芸」について更に詳しく知りたい方は、https://hitotoi.com を訪れてみてください。素敵な作品の写真や、興味深いブログにも出会うことができますよ。そしてぜひ、作品の実物にも触れてみてください。てのひらに乗る小宇宙に、きっと夢中になることでしょう。


犬塚崇文 Takafumi Inuzuka


日本で彫金の技術を、ロンドンで ジュエリーデザインを学ぶ。

在学中よりフリーランスとして活動し、一流デザイナーや、 若手気鋭デザイナーとのプロジェクトにて経験を積む。貴金属だけでなく木、レジン、釉薬など多くのマテリアルに精通し、様々な方向性の作品の制作、提供をしてきた。

hitotoiのデザイナーであり、金胎陶芸家。「すべての人にその人だけの一点ものの作品をお届けする」を理念として、日々創作活動をしている。

event information

meta mate art & craft project #2 「金属と造形」


メタマテ店内にて行われるアーティスト作品の展示販売企画展第2弾はデザイナーたち、アーティストたちによるメタルプロダクト展。

アート・オブジェ作品、アクセサリー、テーブルウェアなど金属ならではの良さがつまった作品・製品が並びます。

会期:2019年11月1日(金)〜11月30日(土)

会場:メタマテ誠品生活日本橋店 (コレド室町テラス2F)

営業時間:10:00〜21:00 年中無休

※入場無料

志村リョウ(造形作家)

is ir (コンテンポラリーアクセサリー)

86400"(プロダクトデザイン)

hitotoi (金胎陶芸アクセサリー)



Social Media

Follow honmono?

  • YouTube
  • Facebook
  • instagram
  • Twitter

提携パートナーについて

​Office365のサポート提供中

​COHSA SHIBUYAの

サポート提供中

チャットワークツールの

​サポート提供中

SLACKスタンダードの

​サポート提供中

Copyright©2020 Honmono Association ALL  right reserved